5.26.2012

World Spins Madly On05

両親の言う事に異を唱えた事はそれまで一度もありませんでした。
社交性に富んだ性格ではありませんでしたし。
割り切りだけは早い気質でしたから。
高校受験の際に、地元から随分離れた女子高を進学先に指定された時も。
親が言うのだからとあまり深く考えませんでした。
それまでも基本的に両親には従順な良い娘だったと思います。
高校2年の春。
お前の将来について大事な話があると言われたあの日。
何故両親が私を地元から遠ざけたかったのか。
将来私に何をさせたいと思っているのかを知った日。
平凡な日常と言う言葉は現実と言う魔法に拠って幻想と化しました。
同時に私は人生について初めて真剣に悩み。
自身の将来について初めて真面目に思考しました。
このまま田舎に居て両親の言う嫁ぎ先に入るのも。
貰い子と言う白い目に曝され、生涯を畑と田圃で暮らすのも。
家賃を払ったらどればも残らない低賃金な町工場に骨を埋めるのも。
一切真っ平ごめんだったのです。
よく映画やドラマの類にある様な。
[一体自分は何なのか?][本当の両親は一体どこで何をしているのか]
と言うお涙頂戴路線に傾倒する事はありませんでした。
今置かれた生活環境を最大限利用し。
この田舎を脱する。
家族?そんなものは居なかった。
家族愛?そんなものは幻想でした。
人は生まれてから死するまで孤独。
これより数年後、厨二病満開な台詞で幕を開ける運命と言う18禁ゲーが世に出る訳ですが。
当時の私は当にその先駆けを地で行ったと言えるでしょう。

結果から言えば取り掛かりは遅かったものの厨二病満開な私の計画は完遂されます。
高校3年の受験シーズンを迎えた頃になると。
さしもの両親も血が通わぬ娘の決意は堅い様だと諦めたのか何も言わなくなり。
経済的援助は一切しないと言う暗黙の了解の下。
私の素行一切を黙認していました。

自分自身が、そしてその人生が高々18年少しであれ。
一般的では無いと言う自覚はありました。
逆に言えば、自分ほどの変わり者も早々世に居ないであろうと思っていました。
しかし。
世の中には及びもつかない奇人変人が存在すると言う事を私は知る事になるのです。
同じ大学内で。
それも2人。

written by 可愛い人

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